李诚明

初夏的夜

今年夏日又至，

夜里，被蒸汽催熟的白熊，

跋沼涉泽而来。

——历经了形形色色的事。

也走过了形形色色的事。

虽有嬉笑之时，

但回想起来，一切都令人悲伤。

就如铁制的车轧声

将初夏的夕暮迫近，

幼年、老年、青年、壮年，

一同发出惹人爱怜的声音，

连薄暮中舞踊的飞蛾

扬起的下颚也可爱得可怜。

尽管，今夜是六月良夜，

尽管，宜人的风将远处的喧嚣送来，

却仍旧陷入了莫名的悲哀，

或许是因为消失的旧铁桥的回响，

从大河那铁桥的上方，从天际那朦胧的石盘灰中，若隐若现。

·

初夏の夜

また今年も夏が来て、

夜は、蒸気で出来た白熊が、

沼をわたつてやつてくる。

──色々のことがあつたんです。

色々のことをして来たものです。

嬉しいことも、あつたのですが、

回想されては、すべてがかなしい

鉄製の、軋音さながら

なべては夕暮迫るけはひに

幼年も、老年も、青年も壮年も、

共々に余りに可憐な声をばあげて、

薄暮の中で舞ふ蛾の下で

はかなくも可憐な顎をしてゐるのです。

されば今夜六月の良夜なりとはいへ、

遠いい物音が、心地よく風に送られて来るとはいへ、

なにがなし悲しい思ひであるのは、

消えたばかしの鉄橋の響音、

大河の、その鉄橋の上方に、空はぼんやりと石盤色であるのです。